わらじ祭り

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もののけ姫に続くスタジオジブリのアニメーション映画です。

この映画にも熊野系の神様の特徴を生かしています。

特に神の世界と現世では神様の名前が変わってしまうというところと、時間の流れが異なるというところなどがこの地方の信仰とよく似ています。

 

海の中の神様の町

神様の町は現世とは切り離され、海に囲まれています。

熊野信仰に見られる補堕落信仰が入っているわけです。

面白いのは、時間の進み方。千尋は神様の世界で長い時間いたにもかかわらず、現世ではさほど時間が過ぎていない描かれ方がされています。

神の世界と現世では時間の流れ方が異なるという浦島太郎の話を参考にしているのかもしれません。浦島太郎の場合は、現世が早く、神様の世界が遅く時間が過ぎます。それを正反対にしているようです。これも、補堕落信仰の一つを逆手にとって使っています。

もののけ姫では、熊野大社の民話にも関わらず、熊野大社の主神が登場しません。

この作品に実は登場しており、その分け御霊がハクです。わらじ祭りの祭神、韋夜神となる神様です。

名前一文字は死を意味する

作中、ハクが千尋を見て「ここに来てはいけない」と激怒します。海中は神様の国であると同時に死者の国です。つまり死者でないと入れない場所に千尋が迷い込んでしまったわけです。

なぜ一文字かと言うと、死者を意味します。戒名の名づけ方は1文字だけ生前の名前を入れます。1文字になってしまった=死者になってしまったという事になります。

ところで、ハクは神様でありながら名前を取られてしまいます。人であり、神であるというところがハクの正体。

日本神話でいえばニニギ命からウガヤフキアエズ命までの間で派生した神様と言う事になります。

 

熊野の補陀落信仰をモデルにしているのであれば、千尋のモデルは豊玉姫命かもしれません。豊玉姫命は八尋和邇に姿を変え、神と現世を行き来します。志摩では海の中では豊玉姫命、陸の上では伊雑登美神と名を変えます。一尋和邇、八尋和邇と数字が変わることもあります。

神の国と現世では神様の名前が変わるという事を参考にしているのかもしれません。

本名がニギハヤミズコハクヌシ。こはく川に住む川の神で、龍神です。

熊野系でたどれば、川に住む龍神の神が闇淤加美神。熊野大社の主神のもう一つの姿です。波切神社では韋夜神になります。但し、この神様、もう一つの姿があり、人の姿をした時が阿遅志貴高日子根神になるようです。つまり、ハクはもののけ姫のアシタカのもう一つの姿と言うことになります。

問題は名前。ニギハヤヒの系統だという事がわかります。この時点で、神武天皇に絡むので熊野系言う事がわかります。

波切にはその昔、「荒見天神」と呼ばれるものがありました。丹波国の安羅見五社天神宮(荒見神社)に見られる神社の名前ですが、同一神であれば、天照國照彦天火明櫛玉饒速日命という神様になります。名前が「先代旧事本紀」の神様なので、ニギハヤヒで同一神がアメノホアカリという神様になります。これが播磨国風土記では大己貴神の子供とされています。つまり、アシタカの兄弟か本人と言う事になります。いずれにしろ、同じ一族と言うところです。千尋を神様の分御霊に想定すれば、千尋の旦那、波切のタケヤオリに住んでいた神様(現在は立石神社に転居)、山幸彦の一族と言う事になります。

どこか似ているハクと塔矢アキラ

ヒカルの碁の塔矢アキラとハクは容姿、言葉遣いが結構似ています。塔矢アキラのモデルは日本棋院の羽根直樹氏と考えると、どちらかの作者が設定の接点に気が付いてオマージュさせたのかもしれません。

 

春日社の神様。 波切神社の氏神様です。

志摩市の隣、南伊勢町の伝説に登場する神様です。