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波切の神様は数多く、同じ祭神の神様が文学によく登場します。
その中で、直接波切に関わるもの、間接的に関わるものを掲載しました。
元々、波切周辺は昭和の中ごろから映画撮影が非常に多く、その数、約20本近くに及びます。特に著名な映画監督では溝口健二監督、小津安二郎監督などの作品が知られ、さらにゴジラの監督でもある本多猪四郎監督の処女作も波切周辺で撮影されています。
特に、映画、アニメ系の順で探訪してみましょう。
衣笠映画聯盟を主催した衣笠貞之助は三重県の亀山市出身で数多くの特撮系の映画監督がその後につながっています。
波切で撮影も行われ、犬塚稔監督、円谷英一(後の円谷英二)カメラマン、主役に林長二郎(後の長谷川一夫)という組み合わせで、撮影を行っています。
この組み合わせは円谷英一をカメラマンとして表舞台に出した「稚児の剣法」かほぼ同時期の作品になります。円谷英一の誕生日は7月10日ですが、7月7日と息子さんたちには伝えていたようです。
衣笠貞之助の誕生日が1月1日で、それに倣い7月7日としたのかもしれませんが、7月7日は波切神社で言えば主神、国狭槌神、つまり七夕の織姫の日でもあります。
円谷英二はこの後、戦争映画などを撮影し、戦後、大映へ移ります。この時の関係者の作品が後のガメラシリーズということになります。
本多猪四郎は伊勢志摩の観光映画を撮影していた方で、この地域を知り尽くしていたといっても過言ではありません。
本多猪四郎の最初の映画、「青い真珠」も波切を含む志摩半島で撮影され、はせどの浜、大王崎灯台などが波切での舞台となっています。
東宝に移った円谷英二と一緒に作り上げた作品が、「ゴジラ」。両名に所縁のある波切のわらじ祭りに登場するダンダラボッチと恵比寿(蛭子神)を使っています。
それは、ダンダラボッチの生い立ちにあるのかもしれません。
波切の民話では、ダンダラボッチは熊野から八大竜王に追われやってきたといわれています。
熊野では、2つのダンダラボッチが存在し、1つは波切と同じ巨人型、もう一つは猪の一本タタラになります。
恐らく、後者が猪四郎の猪と同じなので、本多猪四郎本人の写せ身のような存在に感じたのでは無いかと思われます。これを映像化したのが、「もののけ姫」ということになり、シシガミが本多猪四郎本人になります。
ゴジラは、ビキニ環礁の核実験などで魚が売れないという漁師の嘆きがきっかけであるとも言われています。
水爆実験に反対だったレイ・ハリーハウゼンの「原子怪獣現る」と「海底2万哩」を参考に志摩の怪物、ダンダラボッチと浜の恵比寿をモデルにしています。
核兵器を地上に堕ちた太陽と見立てています。
ダンダラボッチは浜の大日さん、つまり大日如来で太陽神、同時に浜の恵比寿も蛭子神で伊勢志摩の太陽神という説があります。実際には関西圏での信仰で蛭子神を昼子神つまり、太陽神として祀る様です。
この2つの太陽神を組み合わせたものがゴジラ。
この組み合わせは後に、「スターウォーズ」、「機動戦士ガンダム」、「新世紀エヴァンゲリオン」、「風の谷のナウシカ」などでつかわれることになります。
撮影は、鳥羽市から南伊勢町にかけ行われ、波切ではSOSを受信する電波塔に大王崎方位信号所が使われたようです。
1体目は自然からの破壊神としてのゴジラ。
核実験で古代の生物が目覚めたという設定です。しかし、モチーフは入道雲。入道雲は大入道を見立てたもので、ダンダラボッチもこの部類に入ります。
入道雲の設定はゴジラが炎を吐くところに網羅され、背びれの形状は入道雲を表しています。
この時、雲の中で発生した稲光の様に背びれが発光します。
ダンダラボッチと同じく嵐とともに現れ、大きな足跡を残し、地鳴りをあげ、町を破壊して行きます。
そして蛭子神の様に最後は溶けてしまいます。
2体目のゴジラは人としてのゴジラ。ズバリ、芹沢博士です。
人間の行き過ぎた科学を嫌い、最後はゴジラと一緒に溶けてしまいます。
ダンダラボッチの特徴を使い、片目という設定になっています。
意図するところは、人も行き過ぎた科学力を無差別に使えば破壊神ゴジラとなってしまうということになります。
後に、レイ・ハリー。ハウゼンが製作したものが「アルゴ探検隊の大冒険」でイアソン(ジェイソン)はその中の登場人物です。
浜辺でイアソンが倒してしまう巨大な神の兵器がタロスで、片方の足を切られるなど元熊野のダンダラボッチの民話によく似ています。
イアソンは波切神社のわらじ祭りの祭神、韋夜神に名前、行動などが酷似したギリシャ神話の英雄です。
後に、スターウォーズ、宇宙戦艦ヤマト等へと繋がっていきます。
「ユリシーズ」はギリシャ神話のオデッセイアをベースにしていますが、その中にキュプロプスという怪物が登場します。これがダンダラボッチそっくりの一つ目の怪物として描かれています。
ユリシーズはゴジラなどの当時の特撮の影響を受けたとみられ、ユリシーズには円谷英二のファンで有名なカークダグラスが演じています。
これに登場する、ヒロインのペネローペがゴジラと同じく「海底二万哩」を参考にして作られた「スティングレー」の続編の「サンダーバード」のペネロープとなります。
ユリシーズ発表後に描かれた、手塚治虫さんの「火の鳥」にもユリシーズが登場し、「火の鳥」の物語の多くに、ダンダラボッチに関係する民話が多く盛り込まれています。
また、波切で撮影された「海人舟より禁男の砂」は龍宮の井戸をモチーフにして、「ユリシーズ」のヒロイン役、シルバーナ・マンガーノの日本版と言われている泉京子さんがヒロインを務めています。
代表作の「鉄人28号」は、ゴジラと同じく科学技術の危うさを表現しています。
巨大ロボットとしたところに、ギリシャ神話のタロスをモデルにしたのかもしれません。
注目すべきは、この後の作品、「魔法使いサリー」です。
人物構成は波切神社の祭神と同じ構成をしています。
登場人物 | 波切神社の祭神 | |
夢野サリー | 国狭槌神・比売神(タギリヒメ)・伊雑皇大神 | 月の神・アルテミス・かぐや姫 |
よし子 | 国狭槌神・比売神(イチキシマヒメ)・伊雑皇大神 | ペルセポネ |
春日野すみれ | 国狭槌神・比売神(タギツヒメ)・伊雑皇大神 | ディスポイナ(花言葉は「隠された」) |
三つ子 | 表筒男命・中筒男命・底筒男命 | オリオン |
カブ | 韋夜神・阿遅志貴高日子根神・八咫烏 | 本多猪四郎の名前をパロディにしたもの |
ポロン | 蛭子神・事代主 | アポロン |
サリー・パパ | 素戔嗚尊 | |
サリー・ママ | 天照大御神 | |
山野先生 | 大己貴命(千手観音)・山幸彦 |
サリーと、山野先生の関係は後の昭和ガメラの湯浅憲明監督の作品へと繋がっていきます。